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新しい出逢い

先日の雨あがりの朝から急に陽射しが変わったのを感じています。

今年も夏至を迎える季節となりました。

 

6月9日。あるネットのニュースが目に飛び込んできました。

京都伏見にあるカフェトライム様の記事でした。それはとても深く心を動かされる内容でした。記事の中にもありますが、代表をされている元看護師の小川清美様とご主人の小川治夫様、ご主人の元同僚の飛川様の3人で、小児がんの子供達や難病の子供達の継続的な支援をされるためにお店を始められたという経緯がおありでした。お店は巨大なプラレールが設置されており子供達も自由に遊べるコーナーもあります。

コロナ禍でプラレールのレンタル料がお店の負担になってきているとの事で、クラウドファンディングをされていた記事でした。(クラウドファンデイングは15日で既に終了されています)

https://mainichi.jp/articles/20210609/k00/00m/040/071000c

 (6月9日毎日新聞より転載)

息子が幼い頃トミカから始まり、プラレールにも夢中になり、家中トミカタウンになっていた時期がありました。そんな息子も14歳となり、いつの間にかあれだけ夢中になっていたトミカもプラレールも卒業し、クローゼットの中にしまい込み触ることもなくなりました。

ふと、その一式をもらって貰えないだろうか、今の自分なら他にも何か出来る事があるはずと思う自分がいました。その直後には迷いなく、お店の連絡先を調べオーナーの小川様にメールを送っていました。

すぐにご主人の小川治夫様からお返事を頂き、喜んでもらって頂けるとのこと。それから何度かやり取りがあり、お忙しい中を19日に我が家まで京都から取りに来て頂ける事になりました。

 

それから急いで間に合うように、プラレールやその他のおもちゃの整理を夜中にしていました。ついた埃を水拭きしながら、それぞれのおもちゃで夢中になって遊んでくれていた息子の日々を想い出していました。家中足の踏み場がないくらい拡げられ溜息をつく事もままありましたが、振り返れば二度とない宝物の時間だったなと一人感じていました。恐竜にも夢中になった時期があり、私まで恐竜の名前を覚えてしまうくらい本やDVDを見ていました。その恐竜のおもちゃ達を拭きながら、まだ私も恐竜の名前を覚えている事に笑ってしまいました。思い切りその世界の中で遊んで、次の扉を開けた息子にはもう必要のないものなのかもしれませんが、きっと大人になってもその世界で得た感覚は故郷の一部のようになってゆくのだと思っています。このおもちゃ達を、まだ見ぬ子供達が手にして貰えたら、おもちゃ達もきっと息を吹き返し、その子供達の心の故郷になってゆくのかもしれないと思うと、その機会を与えて下さった小川様達に感謝の想いが溢れていました。

あれも、これもと玄関に一杯に積み上げてあとは小川様を待つだけ。

 

奥様と飛川様はお店があるため来られませんでしたが、小川様は雨の中19日の午後に家に来て下さいました。

無添加で作られたこだわりのケーキをたくさんお土産に下さり、早速頂きながらお話しをしていました。(びっくりするくらい美味しかったです😊一つ一つのケーキを説明して下さる小川様からは商品への愛が溢れていました✨)

私もですが、小川様もたくさん伝えたい想いがあり、話は何時間も止まらず、夕方に明日の準備があるので…と帰られる迄、4時間以上たくさんの事をお話し出来ました。(まだまだお互い話足りない感じでした)

どんな想いで活動をされてきたのかということ、お店が出来るまでの経緯、お店を通して伝えたい想い等…時には涙を流しながらお話しして下さいました。

私も今までの自分の創作活動について、どんな想いで始まって、充電期間があり、再び絵筆を握ってからの気持ちの変化。これからの自分の歩いて行きたい道について…

一言一言も真剣に聞いて下さり、深く共感もして下さいました。

 

互いにお話ししながら、初対面であるのに、もっとずっと前から知っている人に再会したような感覚がありました。ご縁とはそのようなものなのかもしれません。

小川様も、常に忙しくされており、当初は取りに来られる日はもう少し後になりそうだとお聞きし、私の中でもお盆位なのかなと思っておりました。でも、小川様の中でこのご縁は何よりも優先しなくてはと思われ、時間を作って下さったとの事でした。

ネットでニュースを見たのが9日。その10日後には我が家にその方が来られ、お顔を合わせて話しをしている事はお互いに本当に不思議な感覚でした。

 

この世に生を受けた時、人は生まれ持ったベクトルというものがあるのだと、物心ついた時から想っていました。時には遠回りしては、そのベクトルにあった場所まで戻されてを繰り返して少しずつ様々な出逢いの中で自分の進むべき道を見つけてゆくのが人生なのかもしれないと今は思っています。その出逢いというのは時に既に用意されているもので、そこに辿り着いた一瞬に交差する点のようなものかもしれません。

その出逢いに気付いても、一歩踏み出すには勇気がいるものなのかも知れません。私も普段はよっぽど心動かされない限り動かないのですが、逆に心の琴線に触れこれだと思ったものには気付くと足が先に出ている事が時々起こります。(笑)たくさんの方に出逢って来た中でそうした感覚は自然に身に着いたものかも知れませんが、トライム様の記事を見た瞬間に久しぶりにその感覚がやって来ました。

 

数年前に福島の森の風学園という児童養護施設のチャイルドサポートイベントのお手伝いをした事から、その施設長の熊田富美子様との出逢いがあり、何か出来る事がないかと思い、再び絵筆を握って描き始めた絵の作品達をポストカードにし、販売代金の一部をチャイルドサポートの支援のために使おうと決めた経緯がありました。

本腰を入れて商売をしているわけではないので、本当にささやかなプレゼントを子供達に贈る位しか出来ておらず、息の長いこうした支援をしてゆくにはどうしたら良いのだろうと最近考えるようになっておりました。

 

小川様のトライムが出来るまでの経緯をお伺いした時に、あるお話しをされました。

小川様が当時、ご夫妻の収入やお小遣いを貯めたものを、ある小児がんの男児の元にプレゼントを届けた時に、そのお子さんに言われたそうです。

“小川さん、これは小川さんたちがしんどい思いで貯めたものなの?もしそうなら、じゃあ僕は貰えないよ。小川さんが苦労して貯めたお金は申し訳なくて貰えない”と。

そこから様々な経緯を経てお店を始め、その利益の中からとお店に想いを寄せられる方からの寄付を合わせて支援に使われるようになったとのこと。

私の中で、その男の子の言葉が深く響きました。

私の中でもずっと思っていたこと。無理して支援をするのではなく、皆が笑顔になる方法で支援をしたいということ。自分の発想が逆であった事に改めて気付かされたのです。

 

きっと、私がネットの記事を目にして心動かされた理由はそこにあったのだと思います。

この手一つで出来る事には限りがあるかもしれません。でも同じように誰かのために何かが出来ないか模索しながらも歩いている人と出逢う事で、思いもよらない方法で大きな流れを作る事は出来るのだと思います。

 

そこで、私の今まで作った作品のカードやポスター、マグカップ等の商品をトライム様でも今後イベントの際等に置かせて頂き、その売り上げから小児がんや難病の子供達の支援のために寄付をさせて頂くという事になりました。

まだまだ私の手でどんな支援が出来るのか模索中ですが、今年初めに立てた自分の目標に又一歩踏み出せたような気がしています。

 

私もまだトライム様にはもちろん足を運んだ事はないのですが、コロナ禍が落ち着いて来たら家族で皆さんに逢いに伺う約束をしています。その日を楽しみにしながら一瞬一瞬を大切に生きていきたいと改めて思っています。

 

ちなみに、トライム様のお店のロゴはイルカちゃんです。

小児がんの10歳のミカさんという女の子の夢がケーキを食べる事と、イルカに逢う事だったそう。すぐに奥様の清美さんがケーキを作って持って行かれたら、本当においしそうに食べられたそうです。そこでこんなに上手ならケーキ屋さんになったらいいよと言われたそう。でも、当時は京都市内にイルカは居なく、他府県まで出かける体力がそのミカさんには無かったとの事で、イルカに逢うという夢は叶えられないまま亡くなられたそうです。

そのミカさんを忘れず、困難を抱える子供達の夢の実現を支援し続けるというメッセージの象徴としてイルカを店頭に描いたそうです。

 

私が再び絵筆を握り始めて描いたのは夢に出てきたイルカ。

不思議なご縁をここにも感じながら、久しぶりに又イルカを描こうかなと思っています。


私が20代の頃にいつも創作を応援し続けてくれていた今は亡き二人の心友を想い出しながら…

 

この出逢いにたくさんの感謝を込めて…

 

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