ずっと長年描きたかったものがありました。
それはクジラです。イルカを描き始めた頃からクジラも描きたいと思いつつ、なかなか描き始める事が出来ませんでした。
何かを描く時、きっと、描きたいと思った瞬間に捉えているその対象のエネルギーを描き出したいと思っているのかもしれません。あまり意識した事はありませんが、私が絵の中で描く動物の廻りにある点々やキラキラはエネルギーそのものを表現したいのかもしれないと最近思うようになりました。
受け取ったイメージと、そのイメージの連れて来てくれるエネルギー。すぐに描けるものもありますが、描くまでに覚悟のいるものもあります。自分が描き出せる程、同じエネルギーがまだ無いとわかっている時です。
クジラは正にそんな感じでした。
クジラの持つ大きな大きなエネルギーを描くには同じ位のエネルギーが描く側にも必要だと感じていたからです。
先日、急に今なら描けるかも…という瞬間がありました。
急いで紙を拡げて、イメージを描き出し始めました。
クジラは唄を歌うと言います。
遠く遠く離れた仲間に様々な情報を知らせると言います。又、生命の誕生の時代から母なる海で育まれた命の物語が水の中に記憶としてあり、その記憶を繋いでいるのがクジラでありイルカであると聞いた事がありました。
この星の生きとし生けるもの全て、それぞれが現在まで命を繋いでここにあるのであれば、きっと私達も皆同じように大切な記憶を時空を超えて繋いでいる存在なのかもしれません。
描き終わった後、言葉が溢れ出し、パズルのように詩になりました。
そろそろ今の自分の中にある幻想を忘れて もっとゆったりとした大海原を旅をするように生きてゆこうと思い始めました。
SONG of the sea
どこから来て どこへ向かう
その問いの中で揺られながら探す出口は きっとずっと見つからない
命の始まり 海の中
全ての記憶を託されて 時空を繋ぐ光たち
静寂の中 時空を超えて聴こえる歌がきっとある
すべての答えはあなたの中にあるのだと
ただあるのは 今 この瞬間だけなのだと
今という点の繋がりが あなたの時間を作り出しているのだと
記憶の螺旋と時間が交差する場所が 今という瞬間
時間が幻想なのかもしれないと
あなたが感じたのだとしたら
きっとそれはあなたの入り口
記憶の螺旋へと繋がる入り口
光の大海原へと時空を超えた旅の始まり