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R.I.P  -追悼- Teresa 

Photo and Poem by Teresa Sebastian

 

人生の中で、ほんの一瞬で心をとらえ心に刻まれる出逢いがあります。たった一つの文章だったり、歌だったり、絵だったり、映画だったり…それが例え実際にお逢いすることが出来なかったとしても、心の琴線に触れた出逢いは永遠に心に残り続けるものであり、想いを馳せる度その出逢いは輝きとなって存在し続けます。

何度かブログでも触れたことがありますが、2018年の10月にスペインのセゴビアの教会で日本とスペインの文化の融合コンサートが開かれました。
サウンドセラピストのAika さん、フルーティストの可愛さん、光の画家Chie さん、神道の統理、そしてスペインマドリード在住のアーティスト Teresa Sebastian さん。この5名によってセゴビアの人々をご招待されたコンサートは光溢れる素晴らしい温かな時間となり、セゴビアの人々の心の中に刻まれた事でしょう。
https://youtu.be/pcy7UUmnhRM

そのイベントが開かれるきっかけは、私のセゴビア出身の20年来の心友であるMontserrat Sanz さん。(以下モンセhttps://montserrat-sanz.squarespace.com/montserrat-sanz)
神戸市外国語大学の教授であり、言語学博士の方です。彼女の神戸の自宅でいつもファミリーでお正月に何日か一緒に過ごすのですが、2018年のお正月、モンセからマドリードに住むアーティスト Teresa Sebastian さんという方のパフォーマンスの映像を見せてもらった事が始まりでした。
'きっとYUKI が好きそうだと思う'と…そこで始まった映像は一瞬で私の心の中に飛び込んで来るようでした。
彼女の佇まい、醸し出す雰囲気、そして落ち着いた温かな声で読まれる自作の詩。携帯の小さな画面であってもそのエネルギーに一気に引き込まれました。
不思議な感覚なのですが、映像を観ているその間、Aika さんとTeresa さんが古い教会のような場所で一緒にステージに立たれているビジョンが脳裏に浮かびました。お逢いしたこともない、そのTeresa さんとAika さんをお繋ぎしたいとその瞬間に強く想い、モンセにその場で伝えていました。
そこからの流れは以前Chie さんの動画をご紹介させて頂いた際に綴らせていただいていた通りです。

この数ヵ月のコロナのニュースでスペインも大変な状況だと知り、モンセの家族やその友人の様子を伺いました。現地の生の声を聞き、ふとTeresa さんはどうされているかなと気になり、先日メールでご連絡をしました。
Teresa さんとは、2018年のコンサートの後で互いにメールでやり取りさせて頂くようになっており、私のHP もじっくりと観て下さり、温かなメッセージをいつも下さっていました。

私がTeresa さんにメールを差し上げた数日後、ご返信がありました。
でもそれはパートナーであるDilyan さんからのメッセージであり、思いがけない悲しいニュースでした。
昨年の9月頃よりTeresa さんは体調を崩され、病院を回られ最期はご自宅で療養され、今年の2月21日に静かに天に召されたとのことでした。メッセージを読んでもすぐには状況が飲み込む事ができず、何度か読み直しました。
その時、このニュースを伝えなければならなかったDilyan さんの事を想うと胸が痛みました。
心を落ち着けて、Dilyan さんに宛て私はメールを返信しました。

お逢いしたことはなかったTeresa さんへの想いを綴る内に、私が映像を通してTeresa さんという温かな存在を知り得た様に、彼女が遺してくれた映像や作品を通してもっとたくさんの方に彼女の優しく温かな世界に触れてもらえたら…そんな想いが沸き上がりました。

Dilyan さんにもそのままお伝えし、私のこのHP の中にTeresa さんをご紹介したいこと、リンクを貼らせて頂きたいことを快諾頂きました。

Dilyan さんも素晴らしいアーティストでおられます。モンセが紹介された日本の昔話のかぐや姫、浦島太郎。
その物語をTeresa さんはみずみずしい感性でとらえ詩を綴られ、それはDilyan さんの美しく幻想的なイラストで彩られスペイン語で出版されました。Dilyan さんは絵の創作だけでなく映像作家、プロデューサーでもあり、その物語は美しい映像のDVD とセットとなっています。Teresa さんの映像は全てDilyan さんが編集されています。
日本では西洋のイソップ物語やアンデルセン童話など、多文化がベースの昔話にも慣れ親しんでいますが、スペインではあまり日本の童話や昔話は知られていないそうです。
モンセは日本とスペインを繋ぐ架け橋となり、日本の文化を伝えることを一つの使命として尽力もされています。
大学での授業の中で日本の昔話を学生にスペイン語に翻訳してもらい、それを元にして私が挿絵を担当し、いつかスペインで日本の昔話絵本を出版し、スペインの子供達に日本の心を伝えたいという素敵な夢があります。まだ実現には至っていませんがいつかその時が来たら私も全身全霊で協力したいと思っています。
モンセが初めてかぐや姫のお話をTeresaさんに紹介した時、Teresaさんは深く感銘を受けられたようです。モンセはその時知らなかったそうなのですが、Teresaさんは7年前に当時17歳であった息子さんをある朝突然死で亡くされていました。かぐや姫が月に帰ってしまうラストシーンにTeresaさんは亡き息子さんを重ねられたのだそうです。
こちらは浦島太郎。ラストは老人になった浦島太郎が世捨て人となり悟りを求めて旅をするという深い趣のある話で締めくくられているのだそうです。
Teresaさんの遺された世界に是非触れられ、ご自身の中にある崇高な世界を感じて下さい。
そしてもし、Teresaさんへのメッセージ等がありましたら是非それぞれのリンク先のコメント欄に綴ってあげてください。
Dilyanさんが必ず読まれます。日本語でも英語でも構わないそうです。
今Dilyanさんは彼女の遺した作品の数々を編集され、近い将来に出版される予定だそうです。

 

 

https://www.instagram.com/teresasebastianpoesia/

https://www.youtube.com/channel/UCdtGcZzNOnXC73midKhGdMw

https://www.facebook.com/TeresaSebastianPoesia

https://www.teresasebastian.com/

 

残念ながらお目にかかる事は出来ませんでしたが、この時代にTeresaさんの世界に繋がる事が出来た奇蹟に感謝し

Teresaさんのご冥福を心からお祈りいたします。

 

Muchas gracias Teresa.

Rest In Peace.

 

以下はモンセがTeresaさんとの想い出とメッセージを綴って下さいましたので掲載させて頂きます。

その後に日本語訳をつけております。

I met Teresa at a joint concert that we had not planned. It was a match made in heaven by someone who thought our two activities could go well in front of an audience. To help the victims of the 2011 earthquake and tsunami, the city of Segovia organized a month of activities related to Japan. My friend Yoshi Shikano, a shakuhachi master, and his friend Masanori Kojima, a guitarist, had created a genre of mixing those two instruments to play music from Japan and from Spain. I invited them to Segovia and they performed at a talk that I gave in 2016. The councillor for cultural activities of Segovia suggested that they also offer a joint concert wth a poet, Teresa Sebastián, who would come from Madrid with some recital inspired in a Japanese poet, two days after my talk. 
We arrived at the setting a couple of hours in advance of the show. Teresa was exquisite, sweet and well-mannered. She let us know politely that the shows could not be mixed: hers was already planned and we could not incorporate new music. That was absolutely fine with us. So, she did her show first and my friends, introduced by me, went afterwards.
She started her show by saying something that stuck to my mind forever: "I dedicate this concert to my son, who would have turned 25 today". Then, she started reciting with a beautiful voice some exquisite text that she had written. I could not take my eyes off of her: "who would have turned 25 today".... So, her son had died. And she was able  to write and recite poetry after that. That turned her immediately into some kind of supernatural being to my eyes. Mortal people like me would not have been able to do that without crumbling in tears... 
Teresa loved the music by my friends and we were in love with her voice and with her out-of-this-world strength and clairvoyance. She had come to give us some transcendental message about death. We wanted to hear it.
After that, I read some of her poetry and saw some of her videos. Se contacted me to create something together with Yoshi and Masanori. She and her partner Dilyan came to Segovia with their dog and we had a coffee at a terrace to get to know each other better. She was able to build a friendship in a moment. She exuded compassion, respect and love for all of us, and I received that with amazement at the human quality of this person I had just met. Dilyan was also a beautiful presence in that encounter.
Two books with a DVD came out of that friendship: Kaguya Hime and Urashima Tarou. It was me who suggested both of those legends. I could not predict that Teresa was a sort of moon child who would have to return to the moon before her time in this earth could have been completed.
She was concerned about my special child who takes medication for ADHD. She told me more abut her special child and how he had died in his sleep. I could imagine her discovering him in the morning of a November day. This woman must have been so strong to overcome that...
The last time I saw her was in the presentation of her book Urashima Tarou in Madrid. I happened to be in Spain, so I was invited to talk at the event. Again, she treated me with so much love and friendship. It was a good event. Yoshi and Masanori played. I spoke. She spoke. Many people came. She offered her house to me in case I needed to stay in Madrid...
And lately, a message from Yoshi forwarding me the news from Dilyan: Kaguya Hime had to leave us. She could not take any of the earthly offerings that we wanted to give her... 
Thank you, Teresa. Thank you for incorporating us naturally in your life and allowing us to participate of your creations. We had the privilege of meeting you before you went to check on your son. Perhaps he needed you in Heaven, perhaps he missed your voice. I hope that you found him and gave comfort to him.
Love,
Montse

 

私がTeresaに出逢ったのは、予定していなかったジョイントコンサートででした。それは私達二人の公演が観客にとって良いものとなるだろうと思って下さった誰かによるものでした。2011年の東日本大震災による被災者への支援の為、セゴビアで日本と関連した活動を1カ月にわたり行っていました。私の友人である尺八奏者のシカノ ヨシ氏とその友人でギタリストであるコジマ マサノリ氏は尺八とギターによる演奏を作りあげ日本とスペインの音楽を演奏していました。

 

2016年、私はセゴビアに彼らを招き、彼らの演奏と私の講演を行いました。その時、セゴビアの文化活動評議員からの日本の俳句にインスピレーションを受けたマドリード在住の詩人であるTeresa Sebastianとのジョイントコンサートのオファーを受け、私の講演会の2日後に行われる事になりました。

 

私達はショーの始まる数時間前に到着しました。Teresaは優雅で優しく、礼儀正しい方でした。彼女のショーは既によく作り込まれているものであり他の新たな音楽を組み込む事が出来ない事を丁寧に知らせて下さいました。私達にとっては全く問題ありませんでした。そして、彼女がまずショーをされ、その後私が紹介をし、私の友人達が演奏しました。

 

彼女のショーは、まず私の心の中に永遠に残ることとなった一言から始まりました。

“このコンサートを今日25歳になるはずだった息子に捧げます”と。

それから彼女は美しい声で彼女によって綴られた絶妙な詩を朗読しました。

私は彼女から目を離すことが出来ませんでした。“誰が25歳になるはずだったのだろう”と。

 

彼女の息子さんは亡くなっていました。その後彼女は詩を綴り朗読することが出来ているのです。そう思った瞬間に、彼女は自然を超越した存在として私の目の中に飛び込んで来ました。私の様な者にとっては涙なしではきっと成す事は決してできないでしょう。

 

 

Teresaは私の友人達の音楽が好きになり、私達も彼女の美しい声と共にこの世を超越した強さと深い洞察力に恋をしました。彼女は私達に死に対する神秘的なメッセージをくれる為にそこにいるようでした。私達は彼女からそれを聞きたかったのです。

 

 それから改めて、私は彼女の詩を読み彼女の映像作品を観ました。彼女はヨシとマサノリと一緒に何かしたいと私にコンタクトを取って来てくれました。彼女と彼女のパートナーであるDilyanはセゴビアに犬と一緒に来てくれて、互いをもっとよく知る為にテラスでコーヒーを一緒に飲みました。彼女は一瞬で友情を築く事が出来る人でした。彼女は情に溢れ、私達全員を愛し尊敬してくれ、私はたった今出逢ったこの人の持つ深い人間性にただ驚いていました。Dilyanも又、その出逢いの中で美しい存在でした。

 

2冊の本とDVDがその友情から生まれました。かぐや姫と浦島太郎です。

 

この伝説については私が提案したものでした。私はTeresaが地球での生涯を終える前に月に帰らなければならなかった人だとは予測出来ていませんでした。

彼女は、私のADHDの為の薬を飲んでいる特別な子供をとても気にかけてくれていました。彼女は彼女にとっての特別な息子について話してくれました。彼がどのように就寝中に亡くなったのかについて。11月のある朝、彼を見つけたTeresaの事を想像できませんでした。この女性はどれだけの強さを持ってそれを乗り越えたのだろうかを…

 

 

最期に彼女に逢ったのは、マドリードであった浦島太郎の本のプレゼンテーションを観た時でした。私はその時たまたまスペインにおり、イベントで講演をする為に招かれました。彼女は再び溢れる愛と友情で私と接してくれました。それは素晴らしいイベントでした。ヨシとマサノリは演奏し、私は語りました。彼女も語りました。たくさんの方が来られました。彼女はもし私がマドリードに滞在する必要があるのであればと自宅に招いてくれました。

最近の事、ヨシからDilyanからのメッセージが転送されて来ました。

 

かぐや姫は私達から去らなければならなかった。私達が彼女にあげる為に地球で用意していた貢物を持ってゆくことはできなかった。

 

Teresa,本当にありがとう。

私達をあなたの人生の中に自然に溶け込ませてくれ、あなたの創造の中に参加させてくれたことに感謝しています。あなたが、あなたの息子の居場所を確認しに行ってしまう前に私達があなたに逢う特権を持てました。多分彼は天国であなたが必要なのでしょう。そしてあなたの声が恋しかったのでしょう。

 

あなたが彼を見つけ、彼に安らぎを与えてあげていることを想っています。

 

愛を込めて

モンセ